店舗の運営顧客戦略の仕組みづくり

Vol.23 現場計画と顧客戦略

現場計画と顧客戦略

顧客戦略が進む企業は「縮小時代に顧客が安定的に増える現場計画を立てている」、たどり着けない企業は「成長時代のやり方で現場計画を立てている」

前回(Vol.22)では、現場の文化醸成について、お伝えしましたが、今回から現場の計画-実践-振り返りについて、詳しくお話したいと思います。今号はまず現場の計画です。

現場計画を立てる理由、本質的な理解

計画を立てる理由、「先の見通しを付けるために計画を立てるなんて、当たり前ではないか」顧客戦略のリーダーでしたらそう思いますよね。確かにリーダーの仕事は、会社をこの先、継続・成長させることなので、経営計画等の計画を立てることは当たり前に想うでしょう。

現場のリーダーは、現場計画についてどう考えていると思いますか?「計画はいらない」と言う人はいないと思いますが、どうして大事なのか本質を理解していないまま、「計画、作るに決まっているでしょ。」とお考えの現場リーダーが多いのが実感です。

本質を理解していないと、忙しくなった時に、おおざっぱな現場計画を立てたり、昨年の計画表を引っ張り出してきてそのまま使ったり、綿密な計画を立てない…事態に陥ります。

なぜ現場計画を立てるのか?それは「今よりも現場でお客様に喜んでもらうために、新しい活動を入れたり、継続する活動を改善したり、古い活動をなくしたりと、活動を見直して書面にすることで、チームの誰が見てもわかるようにする」ためです。

現場リーダーが現場計画を綿密に立てていないと、結局、昨年の同じ時期と同じような活動をしてしまいます。昨年と同じ活動だと、どんな結果になる場合が多いかというと、市場動向と同じ傾向になることが多いです。市場が10%伸びていれば、自店も10%伸びます。市場が10%下がっていれば、自店も10%下がります。成長時代であれば、昨年と同じ活動を一生懸命やれば、問題ありませんでした。現場計画を綿密に立てる必要がなかったのです。実践に本気で取り組めばOKでした。

市場縮小時代は違います。昨年と同じ活動を一生懸命実践しても、売上が落ちていきます。お客様の数が減ってしまうのです。一生懸命やっても昨年よりも売上が落ちる、これはあまりに寂しすぎますよね…。今の時代だから「現場計画を綿密に立てること」が大事です。

現場計画、3つの実務手順

具体的に顧客が安定的に増える計画は、どのように立てればいいのでしょうか?以下、3つの実務手順で作っていきます。

実務手順① 顧客が安定的に増える計画の型・フォーマットを作る。

同じ顧客の実現を考えていても、業態・業種、企業体質・現場リーダー・スタッフの資質によって、適切なフォーマットは変わります。代表的には3つのパターンがあります。「お客様育成(新規・育成・維持)思考のフォーマット」「活動の基本4分野(接客・売場・ツール・イベント/販促)のフォーマット」「フロー(お出迎え〜フォロー)思考のフォーマット」の3つです。

実務手順② チームみんなで現場計画を作成する

顧客を育て続けるためには、チームで計画を立てることが大事です。「計画は現場リーダーが立てて、実践はチームで」では難しいです。「計画をチームで立てて、実践もチームで」が基本になります。

実務手順③ 現場計画の活動面について現場統括者がアドバイスする

日本の現場では、各現場が作った計画に現場統括者がアドバイスする習慣はあります。ただ多くのアドバイスは現場活動の成果である「数値(売上)面の計画」についてです。数値(売上)を生み出す「活動面の計画」についてアドバイスすることが大事です。具体的には、「自店の過去・昨年同時期・前月の活動を踏まえた計画になっているか?」「活動の量が足りているのか?」「オーバー活動(勤務時間内に終わらない活動量)になっていないか?」等の視点のアドバイスです。

まとめ

お客様にずっと通ってもらうためには、「現場(=顧客との接点)」が一番大事です。1度入ったお店にずっと通うかどうか、現場で受けた対応(=活動)を起点に判断しています。そんな現場の計画はとても大事です。

「現場計画のフォーマットを顧客が安定的に増えるフォーマットに変える」「各現場でチームで計画を立てるオペーレーションに修正する」「現場統括者は活動計画のアドバイスをする」そんな現場計画の大きな枠組みを根付かせるのは、顧客戦略のリーダーの仕事でしょう。

理想を掲げるだけ、方針を示すだけでは顧客戦略は進みません。顧客戦略は今の延長戦上にはないかも知れません…。今の延長戦上にあれば、方針だけ示して、あとは任せればいいのですが。

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