店舗の活動

Vol.42 コロナ禍、店舗ビジネスの取組事例

コロナ禍、店舗ビジネスの取組事例

新型コロナワクチンの国内接種がはじまりましたが、店舗ビジネスへのコロナの影響は、まだまだ続きそうですね…。

そんな状況を踏まえて、これから数カ月、B2Cビジネス(小売・サービス・メーカー)の顧客戦略・顧客戦術(CX・CRM)をテーマに、コロナ禍の取組事例をお届けします。

今回は、3つの事例、1つのデータをお届けします。
1つ目は「中堅企業における人・スタッフ活用の重要性」、
2つ目は「コロナ禍の固定客育成においても接客が中心的な役割を果たすこと」、3つ目「顧客の新しい習慣づくりによる、顧客戦略の推進」について、
最後に「オンライン接客」について、ミニ情報をお届けします。

※今回の3事例は、「販促会議」の2020年12月号と2021年2月号から、ピックアップさせていただきました。ありがとうございました。

事例① 「中国のライブコマース事情」

最近中国で流行っているのが、オンラインでライブ中継しながら商品を販売する
「ライブコマース」です(日本でもビームスさんが行っていましたね)。
例えば、有名シェフが料理を作っている姿をライブ配信し、最後にその料理を
自宅で再現できるキットを販売しています。

成功のポイントは、何を売るかということに加えて、誰が売るかという視点を
大事にしていることで、「この人が言うなら間違いないなあ~、買おう」と
お客様に思ってもらうことだそうです。

「リアルvsネット」という区別も大事ですが、どこで買ったかという違いと
捉えることもできます。大事なのは、何を引き金にして、購入の決断をして
いただくのか?でしょう。
Aの道、Bの道、2つの道があると思います。
Aの道は、「何を、いくらで、どこで、いつ、という視点のみで、購入決断いただく」道、Bの道は、「何を、いくらで、どこで、いつは抑えつつ、最終的に“あなたが言うなら”“あなたがそう思うなら”“あなたがそう想ってくれるなら”を大事に購入決断いただく」道です。
皆さんは、どちらの道を進みますか? 

中堅企業では、Bの道を目指すことがポイントで、「人」の部分を顧客接点でどこまで活用しきることができるのか、リアルショップでも、ECでも現場の成果が長続きするポイントになるでしょう。

事例② 三軒茶屋にある「三茶呑場マルコ」

三軒茶屋にある居酒屋「三茶呑場マルコ」の事例を紹介します。
20坪の小規模居酒屋で、4店舗経営しており、コロナ禍の中でも、坪月商50万円
以上を実現しています。

「固定客」の考え方に特徴があって、「固定客をつなぎとめる」というよりは、
「固定客の分母を増やしていく」ことを意識されているそうです。
お客様を育成して、固定客を増やしていくことを大事にしています。
実際、ある企業では毎年、固定客の20%は入れ変わっています。
その事実は、顧客戦略によって、固定客を育成し続ける大事さを思い出させてくれます。

具体的な活動で大事にしているのが接客で、初回来店時の会話を覚えていること、そのために複数スタッフでの接客を心掛けて、見送りの時は、接客した全員で、お土産を渡すことで、多くのスタッフが自分のお客様と認識することでした。
コロナ禍でも顧客育成において、接客が大事なことを再認識させられます。

コロナ禍で、人との接触回数が多いのではという視点もありますが、
今、飲食店に来るお客様は、人とのココロとココロを重なり合いを求めて来ているのでしょう。
人との接触を避けたい人は、居酒屋さんに行かないですよね…。
この時期に来店する顧客の心情を想った対応だと思います。

一方で新規の獲得で大事にしているのがInstagram。
おしゃれな料理の写真、スタッフも登場して親近感を出しています。
Instagramを通じて、20代~30代の女性の新規獲得が本当に多く、席数が少ないお店なので、Instagramのストーリー機能も活用して、リアルタイムで空き状況をお知らせしています。
Instagramは、20・30代女性にとって、ファッション・雑貨だけではなく、居酒屋選びでも検索エンジンの役割を担っているのですね。

事例③ 日比谷花壇「ハナノヒ」

日比谷花壇の生花販売の事例です。
ギフト用生花の売上の前年割れが続く中、自宅用の切り花は好調で、コロナ禍の2020年6月~8月でも自宅用切り花は前年比130%、ECも自宅用は前年比290%でした。
そんな需要の変化の中で、店舗で生花を受け取ることができるサブスク「ハナノヒ」が好調で、20代~30代の女性を中心に、現在会員が28,000人を突破しています。一番人気のプランは、毎日お店で「本日のお花」から1輪選ぶことができる1,987円のプランです。

https://shop.hana.com/

競合ECでは、月額で自宅まで届けてくれるサブスクもありますが、日比谷花壇ではお店での受け取りにこだわっています。
その結果、日常生活の中で花屋に行く習慣を組み込むことができ、スタッフとの
関わりも生まれて、単価アップ、関連商品の購入という成果も出ています。

コロナ禍で、新しい需要の創造が叫ばれていますが、その獲得のためには、お客様の新しい習慣づくりが大事になります。
それを「お客様に新しい生活習慣を啓蒙しやすいリアル店舗を絡めた商品プラン
で実現した」所が、素晴らしいと思いました。
“来店を絡めたお花のある生活”は、店舗の顧客戦略/顧客育成を前進させるでしょう。

既存の需要に対応するのが得意なEC、一方で、新しい需要を創造する(=お客様を新しい習慣に導く)のは、リアル店舗が得意です。人の5感すべてにアプローチできるので、お客様の思考・日常行動の変容を促しやすいからです。
ECは視覚中心ですから…ECの優位性が叫ばれますが、当然、苦手な所もあります。

データ「オンライン接客の利用」

ライフネット生命が行った「オンライン接客の利用」についての調査結果です。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000069919.html

オンライン接客を受けたことがある人が22.1%で、コロナ禍ではじめて
受けた人が8.5%でした。商品としては、不動産、ブランド品の購入頻度が
低い高額商品という特徴がありました。
まだまだ少ない割合ですが、購入頻度が低い高額商品を販売している場合は、
今後大きく伸びる可能性を感じます。

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