ネット通販の拡大
2000年代から順調にネット通販が広がっています。
日本のネット通販(B2C物販)の規模(経済産業省調べ)は、2000年8,240億円、2010年4兆6,700億円、2015年6兆5,000億円になり、2019年で10兆515億円でした。人との接触が制限されるコロナ禍で一気に急拡大し、2020年は前年比22%アップの12兆2,300億円になりました。
順調にネット通販が拡大している日本ですが、経済産業省の調査(平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備)によると、2017年のB2Cのネット通販の比率は7.9%です。外国の状況を見ていくと、中国20.4%、韓国18.8%、米国11.8%、台湾10.4%と日本よりも進んでいます。日本も将来的に、ネット通販がより身近になるでしょう。ファンづくりのプロセスのなかに、ネット通販を入れ込むことができるようになりました。
店舗でのIT・AI・ロボットの活躍、
ITツールを通じて顧客と接する
店舗でのIT・AI・ロボットの活躍、お客様と接する上で、ITツールの活用も広がっています。
- カインズでは、ロボットが、お客様を商品のある場所まで案内しています。
- 全国270店舗ある、焼肉きんぐでは、ロボットが、料理を配膳しています。
- evelopers.IO CAFÉでは、会計の無人化はもちろん、購入商品のバーコードをスキャンしないで、そのまま自分のバックに入れ、レジを通過するだけで、会計済になります。
- コメ兵では、WEB(Zoom、LINE、フェイスタイム)を使って、遠隔で接客をしています。
- ビームスでは、ライブコマース(ネットで商品説明をして、そのままネットで購入できる仕組み)を行っています。
- 百貨店をはじめ、メッセンジャーなどのメッセージアプリ、LINE、メールなど、デジタルの連絡手段も、広がっています。
ファンづくりに人がさける状況や、ネットを通じてお客様をファンにしていく環境も整いつつあります。
ファンづくりが大事な時代へ
一方で、日本市場は「経済規模の拡大が予想しづらい」「商品/サービスの格差が微細になっている」状況があります。ファンづくりの重要性がより一層高まっている現状があります。
ここでは、ファンづくりの大事さを理解する、基本的なキーワードが3つあります。「20:80の原則」「1:5の法則」「生涯顧客価値」です。
20:80の原則(売上安定面からファンづくり理解)
20:80の原則とは、全てのお客様の上位20%のお客様が、売上の80%を占めることです。ブランド・店舗・時期によって、実数は異なりますが、ここまでいかなくても、上位30%の顧客で、70%の売上ということは、よくあります。上位20%、30%のお客様をファンと捉えると、「売上面」からファンの大切さを感じることができます。
1:5の法則(コスト最適化面からファンづくり理解)
1:5の法則とは、新規のお客様を獲得するには、既存のお客様(ファン)が追加で購入することに比べて、5倍のお金がかかることです。新規のお客様を1名獲得する(1回買ってもらう)には、広告費など、かなりのお金がかかります。
一方で、既存のお客様(ファン)にプラスで1回買ってもらうことも、同じ1回ですが、お金が5分の1で済むと言われています。ファンを育てることをそこそこに、新しいお客様の獲得に注力しすぎてしまうと、お金がかかってしょうがないということです。「費用面」からも、ファンは大事です。
生涯顧客価値(時間軸からファンづくり理解)
生涯顧客価値とは、一人のお客様が「はじめて買ってからお客様でなくなるまでの期間(一生涯)」の売上(=購入金額)・利益の総額のことです。年間10万円購入のお客様が、10年間お客様だった場合、10万円×10年間=100万円の価値があると考えます。
通常、購入金額は企業の会計期間をベースに1年間で考えますが、ファンづくりの視点では、会計年度にこだわらず、「はじめて買ってからお客様でなくなるまでの期間(一生涯)」でも考えます。それを生涯顧客価値と言います。
ファンづくりの本質=ファン育成ピラミッド
では、ファンを作る、ファンづくりは、どのように進めれば良いのでしょうか?
新しいお客様になってもらい、徐々に関係を深めて、お客様一人ひとりをファンに育てていきます。そんなファンを増やし続けることです。
今のファンに来てもらうことは、大事なのことですが、ファンづくりの本質は、ファンの育成&ファンを積み重ねることにあります。今いるファンに来てもらうだけではなく、「ファンを育てる/ファンの数を増やす」ことを意識することで、「ファンづくり」は進みます。
ここでは、代表的なお客様にファンへの階段を上がってもらう「ファン育成ピラミッド」について、お話します。
ファン育成ピラミッドは、大きく「初回購入STEP」を3つ、「ファン育成STEP」を3つに分けて、考えます。
初回購入までは、STEP1は認知・関心で「へ~、こんな商品・ブランドあるんだ。」、STEP2は興味・比較で「なるほど…。けっこ、いいなあ♪」、STEP3は欲望・購入で「そうなんだ。欲しいなあ!」とお客様の感情を動かします。
そして、ファン育成の段階は、STEP1は満足で「はじめて買ってみたけど、良いよ。また買おうかな。」、STEP2は愛着で「私の〇〇生活を充実させてくれているよ。」、STEP3はファンで「本当に魅力的なブランドだよね(ココロを奪われている状態)」とさらにお客様の感情を動かします。
今までの企業活動・教育は、初回購入までは、力を入れていますが、ファン育成のフェーズが弱い傾向があります。ファンづくり・ファン育成は、伸び代が大きいのです。
ファン育成の中心的な活動=人しかできない活動
ファン育成の階段を「STEP1 満足」「STEP2 愛着」「STEP3 ファン」に上がってもらうためには、人しかできない、人だからできる付加価値が原動力になります。その理由をお話しします。
ファンになってくれるということは、多くの商品・サービス・ブランドの中で、一番はじめに思い浮かべてもらえることです。お客様が企業・店舗・ブランドに、魅力を感じていて、ココロを奪われていることです。
このように、お客様がファンになっている状況を作るために、一番効果的なのが、人(スタッフ)がお客様にブランドをココロから伝えて、お客様のココロにもブランドが入っていくことです。
1回目の接客では「このブランドは〇〇なことを大事にしているんだ」「〇〇だと考えたら、このブランドを選べばいいのかな」と知識として認知してくれますが、お客様のココロには入っていないことがほとんどです。お客様のココロまで入るには、来店・購入の度に、お客様一人ひとりに合わせて、接客でさまざまな角度から伝えていくことが必要です。お客様のココロに強い印象が残るコミュニケーションが必要だからです。
例えば、あるブランドショップでは、はじめて来店した時には、同業種の他ブランドとの違いをお話します。そのブランドの特徴を最も体験できる商品を試してもらいます。次の来店の時には、ブランド発祥の想いを伝えつつ、お客様が最も興味がある商品を紹介して、その商品に絡めてブランドのプロミスを伝えます。
スタッフはさまざまな商品紹介からブランドのプロミスを語れるようにトレーニングしています。商品購入後は、商品の使い心地を聞いたり、その商品によって変わった生活のある場面を共有して、本当に伝えたいことが、お客様一人ひとりの生活で実現していることを喜び合います。そのサイクルをさまざまなアイテムで、繰り返し行っていきます。
人だからできる付加価値をキーにすることで、お客様に「STEP1 満足」「STEP2 愛着」「STEP3 ファン」と階段を上がってもらうことができます。
「人を中心としたファンづくり」には、どんなことが必要になるのでしょうか?
企業・組織のファンづくりに関わってから約20年、考えるべきテーマには「接客・営業」「集客」「ブランディング」「人材育成(評価)」「チーム・組織」「CRM」の6つが切り口となることがわかりました。それがそのまま、SISのコンサルティング/教育の領域になっています。
ファンづくりを進めていくためのSISのサービス
1.コンサルティング
全社的な取組で、ファンづくり実現していきます。企業・組織の目指すファン育成の姿(ゴール)を具体的にイメージして、そのゴールに近づくために、全社的/総合的にファン育成を進めます。
3.講演
業界・参加者に合わせた、ファンづくりの講演を行っています。B2Cリアルビジネスを対象に、経営層・本部スタッフ向け、顧客接点のリーダー・スタッフ向けなどに講演を行っています。
2.教育
教育を強化することで、ファンづくりを実現していく方向です。顧客接点(現場)で働くリーダー・スタッフを対象にした教育を行い、ファンを育てる人材を輩出していきます。