顧客戦略が進んでいる企業は「仕組みを創る目的を丁寧に決めている」、
たどり着けない企業は「仕組みを創ることが目的になる」
前回(vol.11)は、仕組みが持つあたたかい本質、仕組みを時代に合わせて再構築する必要性についてお伝えしましたが、今回(vol.12)は、実際に顧客戦略の仕組みを再構築する際に明らかにしておくべき「仕組みを創る目的」について、お届けします。
「目的」を明らかにしておかないと、仕組みを再構築すること自体が目的になってしまうからです。目的が明らかになれば、あらかじめその目的を仕組みに組み込むことができます。
顧客戦略の仕組み再構築の目的
目的1「顧客価値向上のサイクル」
時代と共にお客様の購買行動・心理・取り巻く状況も変わっています。
その状況に自社の活動を合わせるために、常に新しいお客様の行動・心理を見つめて、新しい活動に反映していくことが大切です。
顧客戦略の仕組みの中に新しい顧客の心理・購買行動を察知して顧客価値を向上し続ける「顧客価値向上のサイクル」を組み込みます。
目的2「競合との差別化サイクル」
競合他社もいろんな商品・サービスを世の中に提供してきます。
そんな競合状況を踏まえながら、新しい差別化を生み出すために、活動をしていくことが大切です。顧客戦略の仕組みの中に競合の活動を察知して差別化し続ける「競合との差別化サイクル」を組み込みます。
目的3「現場人材の成長サイクル」
顧客戦略は、顧客接点が大事になります。接点でしか生まれません。顧客を育てるために一番大事な顧客接点の改善には、現場人材の成長が欠かせません。顧客戦略の仕組みに「現場人材の成長サイクル」を組み込むことが大事です。
目的4「現場PDCサイクル」
顧客を育てる活動を現場の店内ミーティング・朝礼・終礼・スタッフ個別ミーティング等を活用して、計画して、実践して、振り返りを丁寧に行います。顧客戦略の仕組みにはこのような現場レベルの計画―実践―振り返りという「現場PDCサイクル」を組み込みます。
目的5「継続的な学習サイクル」
現場活動の成果として成功事実、失敗事実が出てきます。その活動を本部で詳しく見つめて、書面化・マニュアル化していきます。それを全店で共有・共感することで、継続的な学習効果が生まれてきます。顧客戦略の仕組みには「継続的な学習サイクル」を組み込むことが大事です。
まとめ
リーダーは、顧客戦略の仕組みを再構築するにあたって、目的を明確に指し示すことが大事です。
「仕組みを創る」こと自体が目的になると、「システムを導入する」「仕組みを創る特別チームを作る」ことを進めても、手に入れたい結果が得られません。
「仕組み再構築の目的の明確化」について話をすると、クライアントさんから「ウチの会社・業界は複雑だから、いろいろあって目的はまとまらないんですよ…」という目的を明確にすることをあきらめてしまうケース、「収益を上げるための仕組みづくりだろう」という概念的すぎて実務に落ちないケースがあります。そんな声がもっともな意見として社内で通っていると、残念ながら仕組みづくりは停滞します…。そんな現実をいくつも見てきました。
仕組みを創ること自体が目的になっていませんか?
仕組みを再構築すること自体が目的になっていませんか?
仕組みを創る目的、再構築する目的を丁寧に明らかにしてから、これからの顧客戦略として仕組みづくりに取り組むことが本当に大事です。