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Vol.37 DXブームとCXの関係

DXブームとCXの関係

最近DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が流行っていますね。
昨年読んだDXの本「アフターデジタル」が面白かったので、先月発売された
「アフターデジタル2 UXと自由(藤井保文著:日経BP:2200円)」を
読みました。こんな一文が印象に残っています。

「日本のDXは“デジタル(AI・データ活用)を導入せよ”という命令が出て
しまい、“顧客提供価値をアフターデジタル社会に照らし合わせて再定義する”
という議論が抜けがちです。“ユーザーにどのようなUXを提供するのか”を
考える前に、業務や人事のデジタル化を先に行ってしまうことが多い」

アフターデジタル2 UXと自由(藤井保文著:日経BP:2200円)

ここからは私の解釈になりますが、UX は、User Experienceの略語で、直訳すると「ユーザー体験」になり、CX(顧客体験)と同じ意味合いであることを考えると(※一般的にはCXはUXを包括する概念です)、DXは「CX(顧客体験)の向上」を前提に考えるべきという主張は、強く共感しました。

※UXとCXの違いを詳しく知りたい人は、こちらのサイトが分かりやすいです。

あらためて、CXとは「どんな顧客体験をお客様に届けるのか」、CXの向上は
「今よりも顧客体験を向上させるためにどうするか」ということになります。
それをリアル・デジタルの垣根なく考えて実践することがポイントで、デジタル面での実践をDXと捉えることができます。

そんなCX・DXを具体的に考える上で、忘れていけないことがあります。
CX・DX共に目的は、「人(顧客)の“感”情を“動”かすこと(感動してもらう)」です。
主に、リアルな場面では、「嬉しかった。」「愉しくなった!」「心地よかった♪」
デジタルの場面では、「以前よりも便利になった♪」「簡単だった」ことで、感情が動きます。顧客の感情が動くことで、ファン化のプロセス、購買のプロセスが進みます。

ビジネスを進める側の私達は、どうしても自分達が何かの改善をすると、ファン化のプロセス、購買のプロセスが“自然に”進むと考えがちですが、各プロセスで「顧客の感情が動く」場面が、今よりも増えないとあまり意味がありません。ここでいう意味がないとは、売上/業績アップに繋がらないということです。
最初は意識していても、CX・DXを進める中で「顧客感情を動かす」という本質を忘れがちになるので(私も…笑)、意識し過ぎるぐらいが丁度良いかもしれませんね。

では、「どのように、人(顧客)の“感”情を“動”かす(感動してもらう)か?」、そこで肝になるのが、「共感」「共振」「共有」という思考軸・活動軸です。

「聞く」ではなく「共感」

共感とは『顧客が考えていること・気持ち(願い・不安)に、「そうなんですか…」「なるほど…」と深く感じ入ること』です。
共感と似た言葉に「聞く」という言葉があります。お客様が口にした言葉を受け止めるイメージがあります。一方で「共感する」という言葉には、お客様が口にした言葉に加えて、言葉で表現しない事(=はっきりと言葉にできない事)までも感じ取るイメージがあります。
聞くレベルでは、顧客から見たらなかなか感情が動きません。
共感レベルまで行ければ「分かってくれている」「嬉しい」と感情が動きます。

「伝達」ではなく「共振」

共振とは『身近な専門家としての考え方・捉え方を伝えて、「そういう見方が
あるんだ~」「そうなのか~」と顧客の心が動くこと』です。
「共振」は企業側・スタッフ側が、ココロを震わせて(感情を動かして)何かの意図を届けて、それを聞いたお客様もココロが震える(感情が動く)イメージをお持ちください。
情報を単に伝える「伝達」とは違います。

「販売・購入」ではなく「共有」

共有とは『顧客がココロから望んでいることを、顧客と顧客接点のスタッフが
共に手に入れていくこと。喜び合うこと』です。
モノを売り買いする関係では「販売・購入」で終わりになりますが、顧客戦略の
世界では、「販売・購入」がむしろスタートで、顧客が本当に手に入れたい事を
実現していくまでを「共有」していくことを意味しています。

まとめ

「DXの推進には、その前提としてCX向上を考える」
「CXの向上/DXの推進は、顧客の感情をどれだけ動かすことができたかが大事」
「顧客の感情を動かす思考軸・活動軸は、“共感”“共振”“共有”」

CX・DXと言葉だけが躍りがちですが、各企業において、顧客の接点において
どんな意味合いがあるのか静かに考えることから、出発したいですね。

CXは、Withコロナのなかで叫ばれるDXにおいても、その根幹になります。

Withコロナ時代、顧客戦略のマネジメントは、「One Team」が鍵になるのでしょう。

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