顧客戦略が進む企業は「成功場面を丁寧に編集して、他店で再現できるようにする」、たどり着けない企業は「成功場面を他店に伝えるだけで終わってしまう」
前回VOL.19は各店舗・各現場の「現場PDCA」をテーマにしましたが、今回はそんな現場PDCAを側面からバックアップする、他店で生まれた成功場面の社内再現について、お届けしたいと思います。
成功場面の共有を進めても…
「ある店舗の成功場面を他店でも再現できれば、もっと現場がよくなる」そんな成功場面の社内再現は、誰もが考えることで、実際に進められてきたでしょう。今も進めているでしょう。
ただ、実際に日々生まれている成功場面をあまり大事にしていない現状がありませんか?その理由は、成功場面の情報共有を進めても、思った程に現場で広がることが少なかったからではないでしょうか。例えば、優秀な売上成績を上げたスタッフに、その成功事例をみんなの前で発表してもらっても、会社全体に広がらないこと、多いですよね。
成功場面が広がらない理由「丁寧に編集していないから」
成功場面がなぜ思った程に広がらないのか、他店で再現されないのか、その原因はいろいろあります。
「成功場面がその地域ならではの内容だった」「成功場面が実践した人のキャラクターに依存していた」等がありますが、一番の原因は、「成功活動の情報をそのまま他店・他の現場に流してしまって、丁寧に“編集”してから流していなかったから」です。
“編集”の意味をネットで検索して見ると、「書物(書籍や雑誌)・文章・映画等を、素材に仕分けして、取捨選択、構成、配置、関連づけ、調整などすること」とありました(齋藤一部改編)。
「成功場面」をテーマに編集という言葉を私なりに再定義してみると、『成功場面の編集=成功場面の活動をいくつかの素材に仕分けして、取捨選択、再構成すること。新たにツールを用意する等して、他店で簡単に再現できるようにすること』でしょう。
例えば…
・あるお店でチラシの成功場面があったとします。チラシをそのまま他店に見せて終わりではなく、チラシの内容をいくつかに仕分けして、その中から成功との結び付きが強い内容を取捨選択して再構成・レイアウトします。それをデジタル化して、他店でもすぐに使えるようにすることで、チラシをそのまま他店に見せただけの時と比べて、圧倒的に成功したチラシが他店でも実践されやすくなります。成功場面が再現されます。
・あるお店で接客の成功場面があったとします。その接客が「他商品との比較トーク」だったとします。そのトーク内容を接客ツールにする(一応、法律を確認しましょう)ことで、その接客が他店にも広がります。
まとめ
ずっと通い続けてもらうためには、お客様との一つひとつの場面が大事です。お客様が喜んでくれた、心地よかった、そんな場面が多くなればなるほどにずっと通ってくれる可能性が高まります。
お客様が喜んでくれた、心地よかった場面が成功場面です。成功場面を今よりもリーダーの皆さんに大事にしてもらいたいと思います。
「成功場面の丁寧な編集を通じて、社内での再現性を高める」ことに積極的に取り組んでいただき、顧客戦略の推進力をアップしていただきたいです。
次号は「1つ1つの成功場面を、蓄積・分類して、簡単に検索できるようにする」ことで、さらに成功場面の社内再現を推進する方法をお伝えします。