顧客戦略が増える企業は「現場振り返りの今を見つめて、完成度アップに取り組んでいる」、たどり着けない企業は「現場の振り返り内容がバラバラのまま進めている」
前回(Vol.24)は、現場の計画-実践-振り返りの内、現場の実践について、お伝えしましたが、今回は現場の振り返りについて、詳しくお話したいと思います。
自社の現場の振り返りは、今、どのくらい丁寧に行われていますか?
17年間、お店の現場を見てきて、計画・実践・振り返りの3つの中で、一番丁寧に行われていないのが「振り返り」でした。売上状況の確認と連絡事項だけの振り返りの現場もありました。どうして丁寧な振り返りが行われないのか、原因は分かっています。丁寧な振り返りをしても、来月の(短期的な)売上とあまり関係がないからです。計画と実践は丁寧に実施しないとすぐに売上ダウンに繋がるのと違いです。
では、丁寧な現場振り返りをすると、どんなことが起こるのでしょうか?
3~4ヶ月くらい丁寧な振り返りを続けると、お客様が喜ぶ場面が段々増えて、お客様の育成がより進みます。お客様との接点が変わってくるのです。顧客が安定的に増やし続けるには、丁寧な振り返りが必須になります。
現場振り返り、3つの実務手順
具体的に顧客が安定的に増える丁寧な振り返りは、どのように進めればいいのでしょうか?
実務手順1: 今の現場の振り返り内容とかけている時間を調べる
以前、現場の振り返りを、どんな内容で、どのタイミングで、どのくらいの時間をかけて実施しているか、整理したことがあるのですが、各社で様々でした。同じ会社でも現場によって内容・タイミング・時間が違いました。
まず自社の現場振り返りがどんな状況なのか、明らかにしましょう。それが顧客戦略を進める丁寧な振り返りを再構築していく出発点になります。
実務手順2: どんな内容を、どんな視点で振り返るのか、決める
顧客戦略の現場の振り返りの内容を決めるにあたって、3つの視点で考える必要があります。①顧客戦略の未来像・理念の振り返り、②1顧客戦略の活動内容の振り返り、③顧客戦略の数値の振り返りです。
①顧客戦略の未来像・理念の振り返り
未来像・理念の振り返りを実施すると分かるのですが、どうしても形式的になりがちです。ポイントは、ある特定のお客様とのある特定の場面に焦点を当てて、その時お客様がどんな気持ちだったのかを背景に、自分が未来像・理念に近づけたのか、振り返りをすることです。
②顧客戦略の活動内容の振り返り
実践した活動内容を振り返る時、まず大切なのは、Aうまくいった活動(=お客様の心に届いた活動・反響がよかった活動)、Bまあまあだった活動、C今一つだった活動の3つに分けることです。
Aうまくいった活動5割、Bまあまあだった活動3割、C今一つだった活動2割と大方決めて、バランス良く振り返ることが大事です。
③顧客戦略の数値の振り返り
顧客を育てるお店では「顧客数」をベースに、「売上」を加えて数値の現場振り返りを行います。
「顧客数」を意識して現場振り返りを行うと、「半年後、固定客をあと何人増やそうか?」「□□ランクの○○さんをどのランクまで引き上げようか?」と自然と顧客を育てる視点の振り返りができます。顧客数がアップすれば、自然と売上もアップします。顧客を育成するために、現場振り返りでも「顧客数」を強く意識することが大切です。
実務手順3: いつ、どんなフォーマットで振り返るのか、決める
実務手順の最後は、実務手順②で決めた振り返り内容を「いつ=朝礼なのか、週ミーティングなのか、月度ミーティングなのか、四半期ミーティングなのか、年間のミーティングなのか」「どんなフォーマットで進めるのか」決めます。
まとめ
お客様にずっと通ってもらうために、現場の計画-実践–振り返りが大事で、実際、計画と実践は各社あるレベルで進んでいると思います。現場の振り返りは一番差が出ます。そして振り返りが次の計画-実践の内容を決めている現実を見ると、振り返りの重要性をあらためて感じます。
顧客戦略のリーダーは、自社の「現場の振り返り」にぜひ、注目してください。その完成度をアップするための具体的な改善点をぜひ、お考えください。具体的な改善点の指示がないと、各店バラバラの現場の振り返りになり、顧客戦略の完成度アップに大きな影響を及ぼします。「現場の振り返り」の全社的な改善は、顧客戦略のリーダーしかできませんので…。